2006年11月29日

明治19年夏場所9日目 (毎日新聞/明治19.5.26)


○回向院大相撲
・昨日同所九日目の相撲勝負付は左の通り。
・番組のうち廣ノ海はヤグラにて達ヶ関に勝。
八幡山嵐山は、われ人共に待ち構えたる顔触れにて流石人気のある同士、粗忽を取らじと見合いしは一点の隙双方になしと見えしが、暫らくして立上り八幡はただに得意に掛て勝を得んと左を差し右を働かしての差し手を防ぐにぞ、仕合悪ししとはちょっと泉川を極めつつ敵の体を崩しながらやはり左を差し、引立て揉むに八幡は右を伸ばして上手より敵の前袋を引きたり、ソリャコソ得意に行きたりは防ぐ術ありやいかにと気遣い固唾を呑んで見物するうち、八幡は一足フミ込んで例のカワズに渡りつつ引絞むれば敵の得意は以前より心得、それと注文あればジッとこらえて双方が体は共に倒れたり、仕切相撲になりければ団扇は八幡に上りしが物言となって預りは無理ならぬ計らいならん。
鶴ヶ濱伊勢ノ濱は、あたら伊勢の首投がぬけて突張りし時危うき所二三度ありしが、土俵を廻って最後に渡し込ての勝は仕合せよし。
高千穂鞆ノ平は、高千穂余り首を使い過ぎ前へ力の入るを鞆ノ平はカタスカシに掛け勝。
・そこで剣山大達は互いに仕切格好はいつもながら立派なるが、前号に記したる如くドコカラでも立つ大達も当日はそう行かず剣山より立ち掛けたる様なるも大達は容易に立たず、此の春場所が負なれば此の場所には是非勝たんとの望みにてすこぶる念入たり、さて立上るや剣山は両手をハヅ一方に構いすかさず押切て勝たんと心いらてど、こっちも剛力土俵近くに至りしも力を直してまた押返し、左四ツに渡りしが又もや崩れ双方左を脇にのぞませ合うてが再び東の溜りに押行くこの時大達危うく見えしも素早く敵をカッパイで土俵を廻り、入れ違いて押切れば踏切り大達の勝にて場内は割るるばかりなりき、或る人評して曰く、此にて来年の大場所も見物の楽しみありとはさもありなん。
相生黒雲をヒネッて勝もよき相撲。
鬼ヶ谷が渡し込み雷震に勝ちしも見ごたえありし。
真鶴は左を差し、右に前袋を引き櫓に掛て綾瀬川に勝。
知恵ノ矢常陸山は右四ツにて上手下手を引き合い五分の取口、水となりて引分けは全く双方術の尽きたる風情なりき。
友綱一ノ矢は、友綱がいつもの通りマタタビをかぐ猫のように首を振廻してコスリ付けるに、一ノ矢立ちにくく少し堅くなりて立つや否、手ひどく寄り飛ばして勝は随分エラかりし。
大鳴門西ノ海は左四ツより西は泉川に替え時々首投を兼ねて水、後は首投と泉川のチャンポンにて攻め立てしは鳴門も少し閉口の色ありしがついに分けは大相撲と見たり。

○祭典相撲
・右大場所の済み次第、回向院境内にて野見宿禰神社保存相撲を興行するよし。
・また来たる二十八日より本所黒江町にて伊勢ノ濱嵐山の両大関にて十日間相撲を興行し、同興行中は大景物を差し出すとの事、また同日は故伊勢ノ海五太夫の本葬を取り行う筈なる由。

両大関が6点の勝ち越しで幕内最優秀成績です。大達もこの日は待ったが多かったようですが相撲内容はなかなか互角の熱戦でした。それにしてもマタタビをかぐ猫のような仕切りってどういうんでしょうかね(;・ω・)西ノ海の首投げと泉川のチャンポンというのもどんな体勢なのか(;・ω・)写真が無いからこそ想像するのが楽しいです。一ノ矢も一時入院したりして足踏みしましたが今場所は筆頭で勝ち越し、三役への道が見えてきました。
明治19年夏場所星取表
posted by gans at 12:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 大相撲
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/166115237

この記事へのトラックバック