2007年12月03日

明治26年夏場所4日目 (毎日新聞/明治26.6.6)


○回向院大相撲
・一昨日四日目は朝来晴れ渡りたる好天気なり、且つ日曜なりしかば午前八九時頃より相撲場に来る者踵を接し、午後一二時に至りては流石に広き場内もほとんど立錐の地をも余さざりし、当日は貴族方、貴衆両議員、銀行員及び高等官吏等許多来場せり。
鬼鹿毛響矢は、左四ツ掬い投げでの勝。
大碇高千穂は、これぞ当日の見物なりとて満場の視線は力士の上に集まりたり、さて立上るや若手なれば烈しく突合いは左をアテ一層鋭く付け入れば、は側面に流しつつ其の腕を捉えて力任せに引落せしに、の体ほとんどトンボ返らんとして僅かにこれを残したる時は満場の喝采溢るるばかりなりし、しかしては危うきを残しなお付入り来るをトッタリで大碇の勝は活発なる相撲なりし。
高ノ戸高浪は、左四ツ高ノ戸はナゲを打ちしが力足らず、預けられ高浪の勝。
大戸崎千年川は、左四ツしばらく挑み合いしがヨリ切りて千年川の勝。
若湊谷ノ音は、一寸と突合い捲き込んで首ナゲを打ちしに敵はこれを残したり、の体斜となりしを得たりとヨリ切らんとして同体流れ、預り。
朝汐大泉は、敵の差し手を絞りツツナゲを打ちしが、ようやくこれを残しければは絞り腕をナタに構え今度は無残に攻め廻れば、の面貌たちまち変じて気息や止むるならんと観客は安き心もなかりしが、流石にこれを解き左四ツとなり上手を引き釣出して朝汐の勝は再生の思いならんと溜りでの評。
今泉大戸平は、たちまちに立上りて左四ツにつがい大戸はヨリ切らんとせしに、は互角の押合い敵し難しと差し手を抜きて首ナゲを打ちしが、少しも動せず大戸無頓着に攻め土俵際まで来りし時は早や危うく見えしが、彼もさる者足クセにて防ぎ少しく土俵を開きしに大戸イラッテ寄り来れば敵の体はさながら弓の如く、此所ぞ一生懸命なりとウッチャりて見事今泉の勝は満場呆然、団扇を指され初めて己れの勝と知りしなり。
西ノ海鬼ヶ谷は、押切りて西の勝。
小天龍玉龍は、片手突きで玉龍の勝。
大纒雷山は、突出しての勝。
鳳凰北海は、左四ツスクイナゲで北海の勝。
大砲大蛇潟は、小手ナゲで大砲の勝。
平ノ戸響升は、足クセモタレ込んで平ノ戸の勝。
大達司天龍は、天下に敵なしと云いし当時にも司天には敗を取り、殊に司天は当場所三役に昇進せし気位なればこの勝負価値なしと好角家はあえて意に止めざりし、さて力士は立上り左四ツにつがいは例の無鉄砲でヨリ行き、司天は土俵を逃げて防ぎツツありしが、は敵の逃ぐるを呼び込みヒルムところ仁王立にて見事スクイ投げで大達の勝、時に司天の体は砂に埋もれていと気の毒に思われたり、の勢いかくの如くなれば大戸平との顔触れ出でたる時は満場の喝釆は中々に鳴り止まざりし。
小錦鞆ノ平は、突出しての勝で打出したり。

今泉が必死の相撲で見事に逆転、物言いもつかないほどキレイにうっちゃったのでしょう。この今泉は飲む・打つ・買うなど素行に問題があったといい目立った活躍がこれまでありませんでしたが、ついに頭角を現してきました。豪傑力士の先輩格・大達も今場所は非常に元気なようで、連日場内を沸かせています。翌日は大戸平との対戦が組まれ、大入りが期待されます。
明治26年夏場所星取表
posted by gans at 20:22| Comment(0) | 大相撲
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