2008年02月10日

明治27年夏場所9日目 (二六新報/明治27.5.26)


○回向院大相撲
雷山狭布里、右四つが腰投げ打たんと腰を入れるとたん雷山クルリ廻り込み後ざまに抱き出す。
大泉小天龍、押合て小天引落して勝。
鳳凰唐辛は、立合に辛鳳の右を引ぱり込み一本背負いを打たんとするを、こやつめ生意気な事をすると云わぬばかりの面持ちしつつ左手にて苦も無く突飛す。
越ヶ嶽鬼ヶ谷は、左四つの廻し引き水入りて引分となる。(この時あたかも西隅の掛け桟敷に喧嘩あり、警官を張して引分たるも可笑)
今泉大纒は、左四つに組みせり合いに追い立てられ、苦し紛れに上手投げを打たんとせしの足踏み出しありて負。
大蛇潟大碇は、右四つに組み大蛇充分腰を引きすまいは敵を起こして寄らんと挑みて水入り後、がなおも起こしてよらん大蛇はここを先途と防ぎ遂に引分となる。
朝汐大戸平は、これぞ当場中第一の好取組なれば観者はこの勝負如何ならんかと固唾を呑んでその立合を待ちたり、立合い大戸の右差しを気に掛け容易に立たずようやくにして立上るや、左四つに組みて競り合い寄りつ寄り返しつ大相撲となる、大戸の寄りをの堪らえて寄り返す機会、組替えて右四つになりより追い込んで行く大戸コリャ堪らんと捨て身を見せるとたん体をもたれ込みたるは、まづ当場第一の大相撲と注すべし。
高ノ森一力は、左さしの下手に一力右の上手に廻しを引き、より寄らんと挑み水入りてより両人少しも動かず引分を待つものの如し、勝負のいつ果つべくとも見えざれば遂に引分たり。
高浪鬼鹿毛は、の左差しその手へ右手を引掛け足癖を巻いて残り、小手投げまた残る機会寄り切て勝。
天津風出羽ノ海は、左四つに組み両人なす事も無く土俵の真中に突立ちたるまま動かず、水入りて引分となる。
不知火大達は、立合に不知火より出す左を泉川に撓めて攻め立てる、不知火撓められし手を筈にかいて防ぐ、水入りてよりなおもより攻め立てたれど勝負の見えされば遂に引分となる。
海山両國は、立合海山に突掛る両國敵の突きに恐怖せしと見え、あろう事か土俵外まで逃げ出して敗を取りたるもおかし。
北海大砲は、右を差して下手投げを打つ、哀れや北海潰れて敗を取る。

最終日は慎重になる力士が多いですが、今場所も引き分けの目立つ九日目となりました。大碇は引き分けで今場所7点の勝ち越し、土付かずと立派な成績でした。朝汐も同じ7点勝ち越し、横綱大関のいない東方で見事に責任を果たしたと言えるでしょう。当時としては優勝の概念そのものが無く、記事でも誰が最優秀であるといった記述はありません。白星の無かった新入幕の両國は最後も冴えない負け方、翌場所十両に下がり再入幕は出来ずに終わりました。
明治27年夏場所星取表
posted by gans at 21:37| Comment(0) | 大相撲
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