2013年02月08日

明治32年春場所二日目(朝日新聞/明治32.1.10)


○回向院大相撲
・昨九日(二日目)は朝来少しく雲出でしも、後には快晴となれりしかば来観者は前日に倍したる勢にて、柳橋他二三の総見物等もあり景気極めて好かりし。
甲岩野州山は、野州の若手人気力士だけありて突きの一点挟み出しの勝、前途有望。
照日山緑嶋は、照日前場所附け出しの当時の技倆には劣りし如くなるも押し切って勝を占めしは腰の強き故ならん。
小櫻小武蔵は、初切りの名人にて小武の方やや優りしが、小櫻の立ち後れを小武すかさず右を当てければ、小櫻はこれを引落さんとするを小武渡し込んで勝を占む。
朝日龍朝日嶽は、左四ツにて挑みは首投げに行くを、は残して逆投げを打ちしが極まらぬより直ちに持ち出しての勝は大出来。
梅ノ矢岩ノ森は、左互四ツにて挑み下手投げを打つもはウント耐え直ちに打返したる早業老巧なり。
最上山玉ヶ崎は、カッタリ組みて押し合いの延びに最上は浴びせられて土俵を割る。
荒鷲大嶽は、左四ツよりの下手投げを危うく残しの右上手投げにて見事に極まる。
栄鶴熊ヶ嶽は、左差し右筈にて一斉に進むには耐え得ずすでに危かりしが、廻り込んでの勝は僥倖。
有明緑川は、諸筈の寄倒しにて苦なくの勝。
鶴ノ音鉞リは、右差しの内掛にてもたれ込みの勝は面白く、二代目谷ノ音の呼び声ありしに反し、はこの頃の米価と悪評を受く。
國見山谷ノ川は当日の好取組、より左差しにて寄るをは耐えて烈しく突き進みの懐狭きは見て附け入り、左差しの右差しにて寄り切りの負は案外なり。
淡路洋八剣は、より首投げ打てばは引落さんの龍虎の勢いにて挑みしが、朝日のには敵し難く、挟み附けの四ツにて寄られての負。
御阪山高見山は、左四ツにて釣り身に行くを御阪先途と防ぎたるは、は振って勝を得たり。
鬼鹿毛増田川は、突き合い一寸耐えるをすかさずハタキ込んでの勝は、に劣るによる。
横車稲川は、の右差しを上手に捲き右を差さんとする間に寄り切ての勝。
鶴ヶ濱若湊は、立ち合いの右差し左筈にて寄り進むには耐える隙なくして遂に寄り倒されの勝ちとなりしが、は土俵の詰めにてウッチャリしとて物言い付き丸預りとなる。
鬼ヶ谷北海は、烈しく突き立て二度まで引落したるも、の足早く附け入りしよりは渡し込むと見せて透かしたるが、は右を差して附け入る勢いにはは体軽くなりて遂に右外枠にて寄切られての負けは面白き角力にてありし。
大蛇潟大纒は、右四ツにて挑みより小手投を試みしが、は残しての体の決まらぬ間に突放したればの体土俵外へ飛ぶ。
梅ノ谷千歳川は、右を差して寄るを首投げを打ちてすでに決まらん様なりしが、は直ぐに釣り出しての勝は苦なし。
當り矢逆鉾は、激しく突き合いは突きまくられたれば軽く廻り込みての出鼻を弾きての勝ちは一瞬間。
鳳凰大見崎は、例の泉川に撓め突き放しは相撲にならず。
小松山小錦は、突き合い諸筈にて苦なく押切りの勝は前日の恥辱をそそぎたり。
・(中入後)荒雲は、立ち上り烈しく右差しにて一斉に押切る勢いを、捨て身見事にの勝。
嶽ノ越淀川は、二本にて前袋を引き寄ての勝は素早し。
松ノ風天ツ風は、は元気に左四ツの上手投を打ちしが、天ツ残して寄る出鼻を又上手投を打ちたれば天ツの腰崩れての勝は大喝采。

國見山が十両として初登場ですが、入幕を目指して着実に力をつけてきた谷ノ川に寄り切られました。そう簡単には勝たせてくれません。幕内から十両落ちした高見山は御阪山(みさかやま)との対戦。この御阪山という力士は番付に載っていない力士で、大阪相撲からの参戦でしょうか。高見山は、一度入幕したら十両に落とされるのが珍しいこの時代にあって不運な陥落。もっとも前場所の唐辛、今場所の小天竜も十両に落とされて引退しており、番付編成方針において改革があったようです。當り矢(あたりや)はこの年に34歳になる遅咲きの力士で、ハゲ頭がトレードマークという個性派なのですが関脇逆鉾を相手に敗れはしたものの元気な相撲。こういう力士は人気が出るでしょう。
明治32年春場所星取表
posted by gans at 01:01| Comment(0) | 大相撲
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