2013年02月14日

明治32年春場所四日目 (朝日新聞/明治32.1.12)


○回向院大相撲
・昨十一日(四日目)日和の持ち直したると好取組の多かりしため貴顕紳士の来場多く、殊に高砂への義理総見物等ありて場内立錐の地もなき程の大入を占めたり。
綾渡野州山は、相四ツにて綾釣っては危うく渡って残り、すぐは釣って持ち出さんとすればは泳いで効かせず釣り返しての勝は激しき角力なりし。
朝日龍立嵐は、右差し左筈にて寄るを立は上手捻りにての負けは余り相手を馬鹿にしたる結果なりと思わる。
照日山小武蔵は、はすぐ潜っての左を外襷に取り、相手の落ちてもたれかかるより体をかわして上よりもたれ潰したる早業は他に類なし。
最上山梅ノ矢は、相四ツにて釣ったるを延びて残さんとするより、もたれ込んでの勝。
荒鷲緑嶋は、左四ツにて寄り身に行くを得たりとは釣りたるより、体を引かんとして体の浮きたる隙を捻っての勝は手に入ったものなり。
朝日嶽玉ヶ崎は、左四つより相四つとなり釣り合いの一点にて釣って勝を得たり。
有明栄鶴は、突合いの出直る端を巻き倒しての勝は手際なりし。
岩ノ森熊ヶ嶽は、は右差しの右を殺しは上手横ミツを取りて挑みしが、は下手に組みて寄り切らんと体を延ばすを受けつつ捨て身にての勝は毎度ながら僥倖というべし。
大嶽緑川は、小手を引掛け蹴倒さんとするも、の踏張りにて効かずかえっての腰崩れて敗を取る。
大戸川鉞りは、左四つにて例の首投げを打ちしも効かずして浮くをすかさず鉞りが釣ったるよりは泳ぎ廻りてもたれたるも、すでに体支えしての勝。
鶴ノ音國見山は、右差しにて寄るを足癖にて防ぐより、渡し込んでの勝は苦なし。
高ノ戸高見山は、高見左を当てて一斉に寄るより、外さんと逃げ身になるを付け入り押切って高見の勝。
八剣稲瀬川は、左を差して寄る勢いに耐える力なく踏み切っての負は幕に入りたる甲斐なし。
鶴ヶ濱増田川は、は左を差して寄るを詰めて耐え、捨て身にての勝は綺麗なりし。
鬼鹿毛響升は、の左差しを巻き右は攻め合い挑みしが、やがての得意なる首投効きて見事の勝。
玉ノ井千年川は、筈の殺し合いにて寄るをは詰めにて右を首に掛け巻き落さんとするも、のもたれに耐え得ずして倒る、素人相撲にもかかる取り口は少なし。
當り矢北海は、は左を差し右を筈にかい、は右を巻き左を殺して攻め付け小手投げ打っての勝は大働きなりし。
梅ノ谷大纒改め出来山は、寄せ付けず右の突張にて出来は軽く土俵外へ落つ。
松ヶ関逆鉾は、二三度突き合いの右を筈にかいて押進むに、は外す余地なくして遂に土俵を割りしはの素早さ技倆には敵し難しと見えたり。
鳳凰若湊は、左四つにてしっかと組みは釣らんと左上手に横ミツを探る途端、は上手捻りにて見事の勝はの老練返り咲きともいうべし。
狭布里小錦は、前年初日に敗を取りしより観客も如何あらんと見る間もなく、は苦もなく突き出しの勝は当然にて狂いなし。
・中入後、谷ノ川は、双方とも東の顔触れなるも土付かず同士なるよりは西に割られし好取組なり、両力士とも直ちに上り左四つにしっかと組みしが、下手を打ちて見事の勝。
松ノ風嶽ノ越は、の左を巻きより下手投を打ちしがは首投げを打ち返して見事に決まりての負はのアセリし故なれば今少し慎重なれば良かりしに、惜しき事なり。

四日目、梅ノ谷は出来山(できやま)を軽く突き出して4連勝。出来山は番付には大纒として載りましたが、二枚鑑札となって改名しました。番付発表後の改名はこの時代たまにあります。大関鳳凰は若湊に不覚を取り2敗目。横綱小錦は本領発揮で3勝目。中入後、十両の甲(かぶと)と谷ノ川は入幕を狙う元気者同士の対戦。十両以下では同じ方屋同士の対戦は言うほど珍しくはありません。結果は谷ノ川が下手投げで3連勝。この時代の十両、基本は隔日出場のはずですが上位は幕内との対戦もあるため八日くらい出ます。しかし下位でも毎日のように出る力士がたまにいたり、割と不公平です(;・ω・)この辺はっきりした決まりがあったのかどうか分かりません。人気があったり有望な力士が多く出させてもらっているようにも見えます。
明治32年春場所星取表
posted by gans at 20:31| Comment(0) | 大相撲
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